外科医のキャリアを考えることがあります。海外にいると、そのモデルは非常に参考になります。
ひとつは手技をつきつめて、一握りを目指すキャリアです。そのためには海外で修行をしたりあちこちで長い修練をつんだほうがよいでしょう。たとえ、日本のトップセンターにいって、そこでのトップになっても、上には上がいます。韓国や中国は医療の集中化がすすんでいますから、より困難な手術ばかり多くやっているひとたちもいるでしょう。世の中にはロボットCABGを200例近くやっている先生もいますし、感染性心内膜炎ばかりやっていて、Redo Commando procedureを何度も何度もやっている先生、Redo Rossを年間何十例もしている先生もいます。そういうところにたどりつけないと、なかなか満足はできないかもしれません。
リサーチに道をみつけるひとも、います。新しい手術を開発したり、画期的な手術を繰り返ししている先生もいます。もしくは心臓血管外科の分野に新しい分野をつくるひとたちもいます。そういうひとを目指すのは、難しいですが、やりがいがあるでしょう。
日本であまりないのはお金を得る外科医になることです。外科の先生で大金で雇われている先生はあまりいません。もしくは外科医として難しい手術をやりながら、お金を稼いでいるひとたちは少ないのではないでしょうか?
海外では逆にこれがマジョリティです。おおくはプライベートの患者さんを優先しながら、公的病院の患者さんも治療していく、先生は実はかなりいます。何千万円も何億も稼ぐわけです。がんばったらこんなふうになれると、なるとそれなりに夢もあります。
家庭をかえりみず、病院に住んで、患者さんを次々になおして、医師として邁進して、家庭からの、信用をうしなった先生を知っています。清貧ですが、家族をハッピーにできなかったのです。部長として、何年もはたらき、何人もの外科医を輩出して、最終的に開業した先生を知っています。キャリアに一貫性がなく、そうなると最初外科を選択したことが間違いだったのかという気すらしてしまいます。
そういうのはなんだか寂しい気がします。せっかく外科医師の数が減るというならば、市場価値を高める方向にうごいたほうがよいとおもいます。
日本の外科医に夢がみられるような世の中になるとよいですね。