大動脈解離という病気があります。これは血管の内側の膜がはがれて裂ける病気です。裂けるチーズがうすい筒状になっているとしてください。一部がぺりっとはがれるとそのままするっと裂けますよね?同じように血管も一部がさけるとそのまま残りもペリペリさけるのです。それが大動脈解離です。
血管の壁はうすいのに、さらに裂けたらもっとうすくなります。そこから血液がジワジワとでてきます。うんがわるいとうすくなったところがやぶれて、大量出血してしまいます。心臓の出口にちかいところでそれがおきると、緊急手術が必要になります。心臓から遠いところでおきると、入院して安静にする必要があります。
わたしはこの病気をなんらかの理由で交通事故にあったものだとおもってほしいと説明しています。つまり、死ぬこともおおいし、後遺症がのこることもおおいのです。後遺症のひとつが動脈が破裂しやすくなるということがあります。実際約20%のひとが5年以内にかなり大きな手術が必要になるというデータがあります。
それを防ぐために、手術や、安静の治療がおわったあとに、血管のなかにステントをいれて、裂けてる部分をふさいで、膨らみにくくするという方法があります。ただこれは手術をする時期、血管の解剖によって結果がちがうこと、しかもその詳細はわかっていないため、結果を保証できるわけではありません。
しかし、データをみてみると、ステントをいれるといれないで、ステントをいれたほうが、長期的に利益があることがわかっています。結果を保証できるものでないのですこし心苦しいのですが、うけたほうがよい手術としておきたいとおもいます。
なにより解離にならないのが一番なんですけどね!