心臓外科医向けです。ステントの話をしましたが、よくステントがいくつも入ったあとのバイパスをします。いくつステントはいっていてもだいたいステントの中はすこしは狭窄しているのをみます。その手術を担当するたびに、ステントの末梢にバイパスをルーチンにつなぐべきか考えさせられます。
日本の外科医の先生には怒られそうですが、私はオンポンプでバイパスをすることが多いです。LIMA-LADだけのときはこの限りではありませんが。このような病変にはもちろん動脈グラフトはCompetitiveFlowがおきて長期開存はのぞめませんので、バイパスにはつかえません。そうするとやはりVeinでつなぐのを検討してもよいのかなとおもっています。Veinは動脈に比べるとCompetitive flowの影響による開存障害の影響はありません。なので、私はサイズがそこまで小さくなければ積極的につなぐようにしています。
ひとつはステントは狭窄するだろうという予想がつくからです。CABGの大きなメリットは将来に対する予防の要素が大きいとおもっております。なので、予防のことを考えるとバイパスしておいたほうがいいのかなとおもいます。
年齢が80台であれば話は別です。なぜなら、その場合、長期生存を期待するよりも、中期生存を期待するためです。ちなみに長期開存するかは縫い方とIncisionの大きさによるのかなとおもいます。心臓をとめたからには0.5mmの内膜しかとらずにバイパスをするようにこころがけています。昔は血管のおおきさによっては大きくとっていましたが、Flowをはかるとあきらかにちがいます。すこしの引っ張りでさけたりするのでかなり神経をつかいますが、Flowがよくなるので、長期開存に影響するのかなとおもっています。もちろんデータがないですし、データのとりようもないので、証明しようがありませんが。
いいところにつなぐ、正確につなぐが一番大事といわれます。そしてできるだけ多くのバイパスをすることが、患者さんの長期生存に寄与できるのではないかと信じています。