医師のキャリア論

外科学会でキャリアについて話すことになりました。
すこしここでもキャリアについて話したいとおもいます
医師の多くは自分のキャリアを医局に任せてしまっているのではないでしょうか。もしくは多くのサラリーマンが会社に自分のキャリアを任せてしまっているのではないでしょうか
それが自分の望みならばそれはもちろん良いことです。
自分の選択ですから。
しかしなんとなくそうしてしまっているのはある種危険かもしれません。

自分の人生は自分のものです。
自分のやりたいことをやっている、もしくは自分がそれをいいとおもってやっているのでなければ、死ぬときに後悔するのではないでしょうか。
究極的にはひとは死にますし、いつ死ぬかもわかりません
死ぬときに、どうありたいかというのが、人生の目標なのではないかとおもいます。
つまり、死ぬときに家族にかこまれて死にたいか、周囲のひとはあなたのことをどのようにとらえるか、などということです。
人生のサマリーをよまれるわけですから。

私は医局を否定するつもりはまったくありませんし、むしろ、あったほうがいいとおもいます。
医局は学校のようなものだとおもいます。
そこに、先生がいて、先輩がいて、後輩がいて、同期がいて、一緒に食事をしたり、のみにいったり、おなじことで悩んだりするわけです。
小さな社会であり、その社会を楽しいとおもえる限りにおいてはいる価値があります。
しかし、そこにたよってはなりません。
自分が自分の生きる道を決めなくてはならないのです

まずはキャリアの目標をたてましょう。
自分は30年後どのようになっていたいのか、考えましょう。
たとえば、30年後お給料をこれくらいもらいたいとかあれば、どの病院がどれくらいの給料をだしているか調べましょう
開業したいのであれば、開業にかかる費用、あったほうがいい技術など、必要用件をチェックする必要があります
教授になりたいならば、どこの教授になりたいのか、そのために必要なペーパーの数や、コネクションを評価したほうがいいでしょう。
たとえば、学閥がある場合、その学閥に所属していなければ、そこの教授になることは難しいでしょう
海外に住みたいならば、どのような国にすんで、どのような暮らしをしたいのか考えるべきでしょう

キャリアの目標がたったら、具体的な課題をつくります。
手技の課題、金銭の課題、研究の課題
医師のキャリアはステップバイステップです。いきなり3段とびはできません。
ですので、どの段階までいつまでに達したいのか。
達するための最短ルートはどこなのか、そのルートにいくのが長期的にただしいのか
常に考える必要があります。
正しいとおもったことをとりあえずやってみることです。
そこに人生のオリジナリティがあるとおもいます。

課題ができたら、実際にやってみます。
まずは実際にやるために、そのルートに入る用件をみます。
直接その場所にいきます
ひととはなします。
いったんルートにはいったら、できるだけ失敗しないようにやるだけです。
もしも研究ならば、まずは小さな成果を確実にえましょう。
2、3個えられたら、今度は失敗するけど、リターンがでかそうなものをやりましょう
臨床でも同様です。
最初は失敗をおそれ、2-3ヶ月したら、失敗を恐れず挑戦しを繰り返します。

最後に半年に一回は成果について検討しましょう。
このままいって、自分の目標としたものにたどりつけるか。
もしもたどりつけないなら、現在の環境においてたどりつける最大の方法をかんがえましょう
1年してもやはり環境を変えなくてはならないとかんがえるならば、環境をかえましょう。
環境を変えても改善しないならば、それは自分もしくは目標に問題があります
しかし半年サイクルにレビューするのであれば、わるいところはすぐにわかるでしょうし、軌道修正も簡単です。
一方で、私はおなじところに3年いることを個人的にはおすすめしています。
3年同じところにいると、信頼もえられますし、その間に実績もつめます。

スタンダードなPDCAですが、これを繰り返すことにより、よりよいキャリアが歩めるのだとおもいます
繰り返しですが、これはすべて、目標ありきです。目標なきキャリアには成功はありません。
なぜならゴールがないのですから。



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