心臓の弁の手術をカテーテルでおこなうか、胸をあけておこなうべきか、議論があります。おのおの利点、欠点がありますが、実際おこなっている医師のなかにはよくわかっていない方も多いかもしれません。
先日オンラインの学会で大動脈弁の治療として、カテーテルで治療するか、手術で治療するかというのが、話題になっていました。手術でもカテーテルよりずっといい成績をだせるというのです。
私はカテーテルも手術も両方やりますので、両方の利点がわかります。カテーテルでは、より早い回復が見込めるかわりに長くもつ耐久性をいろいろな意味で犠牲にしていると、おもわれます。カテーテルでいれた弁の中にさらに弁がいれられるという話をしている先生がいますが、それは半分事実とはことなり、実際少数のひとが、2回目のカテーテルでの弁治療をうけられます。それはいれられないからです。一方手術となるとかなりの確率で拡大手術が必要で、多くの人が死ぬことがわかりました。
手術はその一方、長くもつことがわかっています。そして、2回目の手術はカテーテルでも手術でもかなりよい成績でできます。つまり、長い目でみたら手術のほうが確実です。ただし、回復にやはり時間がかかります。低侵襲でより回復期間を早くできますが、カテーテルの場合は日帰り手術すら可能なので、そこにはかないません。
要はなにがいいたいかというと、どちらがすぐれているとかではなく、どちらも必要ということです。10年以上生きられる見込みがあるひとは手術で。そうでなければカテーテルで、ということです。だいたいみると、なんとなく、生きられそうかどうかはわかります。
いずれどこかでおちつくとはおもいますが、どちらもよい治療であることは確実です。私たちはどちらもできるように、外科医として、うでをあげることが一番大事ですね。