あやうく心臓発作でした、バイパス手術をうけましょう

成人心臓手術にはいくつかの分野があります。バイパス手術、弁手術、大動脈手術、心不全手術、そして最近でてきたのが、不整脈手術です。

バイパス手術は心臓の血管のつまりに対してそれを避けるようなルートをつくってやる手術です。心臓のまわりには心臓に栄養をあたえる血管があります。心臓は筋肉でできており、栄養が必要となります。その栄養を与える血管に詰まりが生じます。それは長年蓄積した動脈硬化だったり、遺伝だったりします。その治療としては3種類あります。無症状でめちゃくちゃせまいわけでないときはお薬で治療したほうがよいとされています。逆に症状があって、きつい病変である場合はステントといって血管の中を風船をふくらませ、動脈硬化を血管の壁に押しあて、金属のメッシュを中においてきて補強するという治療があります。病気が進行しすぎていない場合はこれで対処できます。しかし病気が進行している場合や、心臓の機能がおちている場合はこの限りではなく、新たな血管が必要となります。それがバイパス手術です。

バイパス手術では、移植血管(グラフトとよびます)を胸やうで、足からとってきて、その血管の端を他の血管に、その逆の端を心臓の血管につけ、心臓のつまりをさけた迂回ルートをつくってやるのです。そうすることで、心臓はまた栄養がえられて、動くことができるのです。

心臓にはこれまた、低侵襲なアプローチがあります。これは左の胸に小さめの傷をつくり、バイパスを小さい穴からやる方法です。解剖的にできるひととできないひとがいますが、すごく良いアプローチだとおもいます。わたしは経験がないですが、小さめの傷なので、見た目もきれいです。痛みに関しては大きな傷でやるのもあまりかわりないようです。

もうひとつロボットでやる方法があります。これはすごく小さいきずででき、痛みもかなりすくないです。だいたい手術して2.,3日でかえることがおおいです。ただ、すべての血管にアクセスできず、だいたいステントとともにハイブリッドという方法になります。一番大事な前下降枝にバイパスをし、ほかの血管はステントをする方法です。この方法だと、痛みもすくなく、骨も触らないので、社会復帰がはやいです。7-10年はほぼ大きいきずでやる方法とそんなにかわらない成績ですので、高齢な方,そこまで、進行しすぎていない方にはむいている治療だとおもいます。私はこの治療の訓練をしました。

どのような、傷でやるかより大事なことがあります。胸の血管は二本あるのですが、両方つかうということです。もしくは腕の動脈と胸の血管の2本でもよいのですが。動脈を移植する血管につかうと、手術の効果はほぼ永遠に続きます。そして2本の動脈を使うと、生命予後を改善するデータがいくつもあります。3本以上についてはあまり効果がないかもしれないというデータもありますが。まだこのへんはわかっていません。

両方の胸の血管をつかうと傷のなおりがよくなくなるため、感染するリスクがすこしあがります。どのような移植血管(グラフト)についてはよく外科医と相談したほうがいいかもしれません。高齢のかたには必ずしも動脈のグラフトは必要でないかもしれませんが、50台や60台のかたは絶対ほしいところでしょう。

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