外科医の訴訟で有罪がいいわたされました。
上告するでしょうが。
日本では外科医師は結構厳しい環境ではたらいています。
それでも日本の医師はそれをあたりまえとおもい、うけいれているわけです
厳しい環境とはどういうことでしょう
1つは、高まる訴訟リスクです。
医療ニュースをみていると、訴訟の記事がほぼ毎日でてきます。
これは一部でしょうから、一人一件の訴訟をうける時代がくるかもしれません
いま患者側の主張が通りやすいようにみえます。
私が患者だったならば、すこしの合併症がおきたら、よろこんで訴訟するでしょう。
弁護士費用がかかるとはいえ、勝訴した場合数千万の利益がえられますから、訴訟したほうが、資本主義的観点からするといいんです。
わたしは訴訟することをすすめませんが、訴訟することを制限することはできません。
刑事罰すらおきています。
たぶん世界で、医療合併症で刑事罰が適応されるのは北朝鮮と日本くらいでしょう
2つ目は変わらぬ長時間労働です
医師の労働環境は多くの場合、24時間オンコール、休日は2週間以内です。
土日もオンです。
外科のことしかわかりませんが、外科の研修をしていたころ、朝6時半からはたらきはじめて、夜8時-9時まではたらきます。
そして、担当医制なので、自分の患者さんに何かあったときには必ずよばれます。
加えて、当直もします。
当直は病院内にいて、救急や病棟内の患者さんの管理をするわけです。
これが週に1回くらいはあります。
小さい病院では2-3回あることがあります。
病院のなかに24時間いたうえで、その後に通常勤務をします。つまり40時間程度の労働になるのです。トータルで週に100時間程度の勤務が普通です。
労働時間は40時間が普通は上限ですから週に60時間の時間外労働があるわけです。プラス夜中によばれる時間もありますし、電話で指示をだします。
そしてなぜか時間外労働は無料提供しているのが実際です。
3つ目は収入の比較的なすくなさです
日本のトップの学力で高い学費をはらうというリスクをとっているにもかかわらず、収入は高くありません。
といっても1000万は超えます。一般には高いでしょう
昔はいい収入だったのかもしれませんが、その後日本はインフレしました。
しかし収入はふえなかったために、比較的やすくなってしまいました。
そして先にかきましたが、時間外労働費がちゃんと支払われていません。
病院の収益もすくなくとも8%はへっています
消費税は病院が業者から買うコストにはかかりますが、保険料はあがりませんでした。
つまり、消費税分はすくなくとも収益はへっています。
さらに物品のコストも実は高いです。
海外にきて、実際もののコストをききますが、日本のほうが高いのです。
医療費は海外のほうが高いのですべて医療機関のコストです。
民間の医療機関が発展しないのはこういう理由もあるでしょう。
医療機関の収益が増えないので、医師の収入が増えるわけないのです。
しかしクリニックは比較的利益が良いようです。
なので、開業すると、収入が倍増するようです。
もちろん開業リスクはありますが、場所さえ間違えなければ、限定的です。
夜中に対応する必要はありませんから、QOLはいいわけです。
そしてFamily Medicineは訴訟リスクは低いです。
シニアな外科医が開業をするのはこのためです。
でもそれってすごく無駄なわけです。
経験の無駄というか。。。患者さんにとってよくないようですよね。
こうした労働環境を改善したいわけですが、障壁があります。
ひとつの問題は、日本の医師は正義感がつよいということです。
がんの患者さんの治療はまたせてはいけないし、救急はまたせてはいけません。
しかし、それをおなじコストでやるとなると結果、ブラックな職場環境を生んでしまうのです。
さらに医師はストライキを法律でみとめられていません。
さらに、もともと勉強ができるひとはタフなひとが多いですから、タフな労働環境をやりすごす傾向にあります。
労働環境はブラックにむかいます。
政治的にもそんなに強くありません。
医師が日本医師会にたいして所属感がありませんから、政治力もありません。
改善の方向に向かわないのです。
つまり他力では改善のしようがないことがわかります。
わたしたちがどのように対処すればいいのかについて次の回にのべたいとおもいます。