生き残りをかけた病院は望む望まないかかわらず競争に巻き込まれます。競争とは患者さんのとりあいなのか、医者のとりあいなのかはわかりません。サッカーと同じで、医師はプレイヤーです。まずはリーグにでるためのある程度の人数が必要です。すでにいいプレイヤーをあつめるにはお金がかかりますし、将来性のある医師を育てていく方法もあるわけです。信頼をくれる患者さんの数は利益なわけです。患者さんの数を増やしていくことがとても大事です。ある患者さんの信用のある病院になった一度なると、その周辺の患者さんを得ることができます。つまり家族やともだちです。なぜならば、いい病院がどこかというのは本当に難しいからです。あのひとがよかったという話は実はかなり力があります。
ひとつサッカーリーグと違うのはいろいろなリーグがあるということです。多くの病院が急性期病院にフォーカスしていますが、実は亜急性期、慢性期の病院のほうがニーズがあります。なぜならば、手術で合併症がおきた患者さんや脳梗塞になった患者さんというのはある程度の確率で発生します。急性期の病院としてはそういう患者さんはベッドの回転がわるくなってしまう原因となり、機能をうしなうため、そういう患者さんをできれば信用のできる病院にあずけることができると効率がよいのです。急性期の病院、亜急性期の病院、慢性期の病院という3つのフィールドでどの分野にフォーカスするかについて、まずきめるべきです。それはいままでの成り立ちにもよりますし、周囲の状況によります。
分野や方針がきまったら、どういう医師が必要か考えるべきだとおもいます。たとえば循環器に特化した急性期病院をめざすならば、一人のちゃんとしたカテーテルのできる医師、一人の有能な心臓外科医をやといます。できればどこかのナンバーツーが一番効率がよいです。どこかのトップだと、コストがかかりますし、なんらかのマイナスな理由がないと、移らないためです。そして、若い医師をやといます。そこには教育をからめるべきでしょう。コストが安い割によくはたらくからです。そのまま事業が拡大したら、そのひとにポジションを用意して、大ボスより安い値段で雇いましょう。そして若者をやとうといいとおもいます。
ちなみに学会費を多くだすとよりモチベーションの高い先生があつまるかもしれません。大学病院ではないので、研究にフォーカスする先生はすくないとおもいます。ポジションもつきませんし。なので、研究ばかりで、臨床に興味のない先生が一般病院にくる可能性はありえません。
やとったら、まずはマーケティングチームを作りましょう。別に経営経験がある必要はなくて、それよりは現場感があるほうがいいです。医師が兼任してもよいのですが、それよりは救急の看護士の経験のあるひとをやとったほうがいいとおもいます。救急隊に胸痛にあったら、100%うちがとるといってしまいましょう。救急隊はいち早くうけいれてくれる病院をさがします。救急隊にとっては適切な場所に電話をするときに時間が大事な要素となります。できれば、はやく受け入れる病院に電話をしたいわけです。一番近くの80%うけいれてくれる病院に電話したする前に、もしかして、そこまで近くなくても100%受け入れてくれる病院に電話するとおもいます。なぜならば、一度にいくつも電話できるわけではありません。一度の電話に何分の時間がかかるでしょう。医師につないだりすると10分くらいはかかります。10分あれば、時速60kmならば10km移動できるわけです。なのでその10分を消費するよりはさっさとその病院にむかった方がはやいわけです。
さらに開業医さん、もしくは他の総合内科の先生に会いましょう。できれば飲み会をひらくといいとおもいます。心を許せたら、携帯電話を必ずわたしましょう。携帯電話で、大口ならば、部長の電話、そうでなければ、病院の携帯電話をわたしましょう。そういう意味では病院のスマートフォンを当番制でわたすほうがよいとおもいます。とにかくアクセスをよくするというのがキーです。紹介状なんて形式だけでもいいわけです。ただ、紹介状かくのは大変です。それよりは電話ですませてしまったほうが楽です。なので、紹介状は雛形をわたして、それを患者さんと、写メおくってもらう方がよいとおもいます。
心臓外科も当然周囲の循環器科にコンタクトとりましょう。もしも近隣に心臓外科があるならば、自分の売りがなにかをみつけましょう。MICSはいい手だとおもいます。センター制にして、できれば、大動脈外来、弁外来と専門制度にすると、むしろ専門化されているようにみえて、売りになります。
若い医師を育てるのは非常に効率のよい方法です。医師を育てる実際3-5年特定の病院にいると、その後定住する確率がたかいはずです。なぜなら、生活を動かすのにコストがかかりますし、家族がいるならば、転校など、生活の基盤が大きくかわってしまうので、3年から5年もおなじ場所にいると仕事面で相当の理由がないと、動きにくいのです。なので3年や5年の契約にして、しっかり育てる。そのあとのポジションを約束する。ただ、胸痛の患者は絶対に断らないということを約束させなければなりません。これでいい人材がやとえるとおもいます。
急性期循環器パターンでなくても、他のパターンでもプランは意外とたてられます。もちろんプラン道理にはいかないですが笑。プランがないとどういう風に修正するかもわからないので。
病院経営というのは実はそれが専門であります。経営コンサルタントを雇うよりもできることがたくさんあります。まずは、リーズナブルな計画をたててみるということからはじめてみてはどうでしょう。