肝臓の病気と心臓の病気は相性がよくありません。肝臓にひどい病気があるとき、心臓手術は極端に難しくなります。これは、技術的に難しくなるわけではなく、手術後に調子をくずしてしまうということです。
肝臓の機能が著しくわるい、肝硬変とよばれる状態があります。そのレベルはチャイルド分類というものでわけられています。AからCまでわけられていて、Aは一番よくて、Cが一番わるいです。いろいろな論文で肝臓の機能がチャイルドAであれば、手術になんとか乗り切れる、Bよりわるければ手術をのりきれないとされています。
ではまったく手術がうけられないかというと、そういうわけではなく、心臓をとめない手術であれば、なんとかうけられる可能性があります。それはカテーテルでする手術だったり、小さい傷でする人工心肺(心臓と肺を手術中に助ける機械)をつかわないバイパス手術であれば、手術にたえられることが多いです。
また肝臓の病気が心臓からきていることもあります。これは心臓を直した結果、肝臓の機能が回復する可能性があります。いったんカテーテルで様子をみて、肝臓の機能が改善した時点で、手術にむかうということも可能です。
私の経験でもいったん(適応ではないですが)クリップで三尖弁を治療して様子をみている患者さんもいます。幸いだいたいのひとが、症状が改善しつつあり、手術が必要な段階にはいたっていませんが、手術が可能なレベルにまで回復する患者さんもいます。また肝臓の治療をがんばって手術が可能となるひともいます。あきらめず治療をする医師をさがしてみてください。
もしも何か疑問があれば、ぜひご相談ください。
手術をする側のかたも、肝臓の機能によって手術方法を変える必要があります。もちろんみなさんご存知でしょうが。患者さんに一番いい選択肢を提供できるようにがんばりましょう!