がんと診断されました。手術はうけたくない、どうやら、画期的に効く食事やクスリがブログなんかで紹介されている。ためしてみよう。。。
そういうひといますね。いろいろなメディアで「○○ががんにききました!」とか「がんが消えた」などという宣伝をみます。すこし考えてみてください。日本だと医療というものがテレビ業界、広告業界と比較すると、そこまで大きな産業にみえないかもしれません。しかし、そういったものは国単位の制限があったり、言語の制限があったりと国を超えて売られることはありません。医療業界のお薬やデバイスは国を簡単にこえます。どこどこの国でテストされてよかったからうちの国でもやってみようということはいくつもあります。命がかかわりますから、ニーズも高いですし、単価も安くないのです。なにが言いたいかというと一発あてたら、それだけ大きな産業ということです。
「世界の時価総額ランキング」で医療業界の会社が20位以内に3つはいっています。やはりITは強いですが、多くの会社が大きなお金をもっています。つまり、本当に効く確証のある薬は、市場にでまわっている、もしくは大学病院など専門機関で治療の試験がされています。画期的治療薬を発明した小さい規模の会社の買収は日常的におこなわれています。
画期的に効く薬があるとしましょう。もしも開発者が多くのひとを救いたいとおもうならば、企業に営業して安い値段で売ってもらえるように努力するでしょう。もしも開発者がお金をほしいとしたら、そのひとは起業して大きな会社に売るでしょう。いずれにしても、民間でうるメリットはなにもないのです。
すべてが効かないとはおもいません。もしかして開発者が売り方を知らないだけ、試験がうまくくめないだけという可能性はありますが、手術がこわい、病気が怖い、死がこわいというひとの弱みにつけこんで、高い商品をうりつけ、ある程度したところで消えるということがあります。本やメディアなどを広告につかって、それなりの権威をしたてるということすらあります。
健全な科学者、医療者はまっこうから否定できません。なぜならば、われわれにとって効果がないという根拠となる統計や論文が必要だからです。そういった薬はちゃんとした試験がされていません。否定する明確な根拠がないのです
じゃあどうすればいいのか。標準治療が一番効果的です。それは多くのウェブサイトで書いてある治療、外科医がおすすめする治療です。もしもそんな効果的な治療があれば、医師自身が知りたいはずです。それで大きな論文がかければ昇進につながりますし、多くの患者さんが救えるからです。ただしコストのかかるロボット手術などはまた別です。これらは最先端で自由診療かもしれませんが、皆保険でサポートするにはコストが高く、二の足をふんでいるようにおもいます。最近ようやく保険算定できるようになってきましたが。
よく外科医は切りたがるということを言うひとがいます。そんなことはありません。根拠は
1.多くの総合病院の医師は給料制なので、そもそも手術を多くしようが給与に反映しない
2.手術適応のないひとを手術して論文にしても、すぐに判明し、たたかれ、業界から追い出される
3.手術適応のないひとを手術して、なにかトラブルになったときに医師として再起不能になる
もちろんわれわれは手術が好きです。でもそれ以上に患者さんのありがとうが一番力になる。とくに日本の先生に関してはこの点安心してよいのかなとおもいます。もちろんみんながみんなでないのかもしれませんが、そうでなければ、儲からない、タフな仕事をなかなかできません。信じてあげてください。
話はずれましたが、自由診療の治療をうけるのは、もちろん患者さんの自由ですが、個人的にはおすすめしません。信頼のできる先生に腹をわって相談してみてください。実際自分も相談をうけたことも何度もあります。そのたびに、私の家族ならお勧めするかどうか、実際どのようになるかを説明しながら、相談に応じます。